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超望遠レンズとデジスコの使い分け

フィールドスコープの接眼部にデジタルカメラをくっ付けると"デジスコ"だが
フィールドスコープを一眼レフ用超望遠レンズに置き換えるとどうなるか?

一眼レフ用超望遠レンズを購入:2008年01月30日
 2005年秋から2008年始めまでフィールドスコープとコンパクトデジカメを組み合わせて野鳥の写真を撮り続けてきた。 フィールドスコープとコンパクトデジタルカメラとの組合せる撮影法は"デジスコ"とか"デジスコーピング"とか言われている。 確かに超超望遠撮影が、割に安価なシステムで実現でき、その総重量も徒歩で運べる程度で、被写体距離が遠い野鳥撮影には向いている。
 この便利な方式も3年近く続けていると、静止した野鳥写真ばかりなのが物足りなくなってきた。  写真の魅力の一つは細部まで高精細に描写する能力だが、もう一つは激しく動いているものを静止して見せる能力である。 写真の魅力の半分が抜け落ちてしまうのが"デジスコ"の残念な点である。
 動的写真へも挑戦するため、一眼レフ用超望遠レンズを2008年1月末に入手した。  超望遠レンズとフィールドスコープの両方を背負って野鳥撮影に出かけるのは重量的にも容積的にも無理である。 そこで考えた。フィールドスコープの代わりに超望遠レンズを使って"コリメート法"による超超望遠撮影ができるのではないか。
超望遠レンズを使って"一眼レフ"対"コリメート法"の実力診断:2008年03月22日

 テスト被写体は電柱てっぺんのスズメのお宿。コンクリート電柱には亜鉛引き鉄角柱パイプが水平にボルトで止められている。5センチ角で中空の"横木"がスズメの格好のねぐらになっている。被写体距離は30m弱。


1000mm
 まずは、超望遠レンズ+テレコンバータ+一眼レフの組合せ。
 Nikkor 500mmF4G ED VR + TC-20EU + Nikon D3。
1000mmレンズでの撮影である。D3はフルサイズデジタル一眼なので、35mmフィルムカメラ換算1000mmの画角そのものである。
 写真はトリミングしていない。最良の写真にするために画像処理をしている。サムネイル写真をクリックするとより大きな写真が開くが、サイズは長辺を1024画素に縮小している。




6600mm
 同じ位置から同じ超望遠レンズとテレコンバータを使い、一眼レフの代わりに、フィールドスコープ用アイピースとコンパクトデジタルカメラを接続して撮影。
 Nikkor 500mmF4G ED VR + TC-20EU + Eyepiece WIDE DS 40X/50X + Nikon P5000。
 P5000は7.5mmから26,3mmの3.5倍ズームレンズ付きだが、中間付近の15.7mm (75mm相当)で撮影。
 同一地点から写した同じ5センチ角柱の寸法を1000mmでの画像と比べて計算すると約6600mm相当となる。
 500mmレンズ+2倍テレコン+WIDE DS 40X/50Xの組合せは、コンパクトデジタルカメラの35mm換算焦点距離を約90倍に伸ばす効果がある。
 写真は上と同様の処理をしている。トリミングなし。画像処理あり。サムネイル写真をクリックするとより大きな写真が開くが、サイズは長辺を1024画素に縮小している。
 なお、超望遠レンズを使ったコリメート法の場合、フィールドスコープと異なり、天地が逆になるので、画像処理で180度回転している。


1000mmトリミング
 同じ超望遠レンズを使って一眼レフで通常通り撮影した場合と、コリメート法で撮影した場合で、画質にどれだけの差があるのか? 比較のためコリメート法で撮影した画像と同じ大きさになるように一眼レフで撮影した画像をトリミングした。
 元の画像は1200万画素だが、大幅なトリミングで画素数は30万画素になっている。横1024pix、縦768pixで表示するよう処理しているので79万画素に増加しているがオリジナル画像から引き継いだデータ量は約30万画素である。それにしてはよく健闘しているが、アイピースとコンパクトデジカメを使ったコリメート法が画質面で上回っているのは間違い無い。





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"一眼レフ"対"コリメート法"の実力診断、第2弾:2008年03月25日

 22日のテストでは、一眼レフ側の焦点距離が1000mmで余りに短すぎ、トリミング率が高くなりすぎたと思われるので、一眼レフでは最長の3000mmでテストした。コリメート法もどこまで長焦点化が可能かP5000の最望遠側でやってみる。

3000mm
 超望遠レンズ+テレコンバータ+デジタル一眼レフの組合せだが、長焦点化をねらって、テレコンを2倍から3倍に、一眼レフをD3からD2Xに換えた。
 Nikkor 500mmF4G ED VR + Kenko 3XM TELEPLUS PRO 300 + D2X(クリッピングモード)。500mm×3×2=3000mm相当になる。







10800mm
 コリメート法による撮影。Nikkor 500mmF4G ED VR + TC-20EU + Eyepiece WIDE DS 40X/50X + Nikon P5000。
 P5000の最望遠端 26.3mmの一歩手前24.5mmで写しているのは、それ以上拡大するとサイズ比較に必要な5センチ角パイプが画面からはみ出すからだ。
 3000mm相当の一眼レフで撮影した画像との比較から、f=24.5mmで撮影したP5000の画像は約10800mmに相当する。






3000mmトリミング
 3000mm相当の一眼レフで撮影した画像を、上のコリメート方の画像と同じ画角になるようにトリミングした。
 トリミングの結果、660万画素の元画像の内、約78万画素を取り込んでいる。トリミング率が高くないので画質はかなり保たれている。やはりコリメート法の画質のほうが上質ではある。








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超望遠レンズを使った"コリメート法"撮影の実際:2008年03月28日

ultratele_P5000  超望遠レンズを使って"デジスコ"風にコリメート法撮影をするには、レンズ後端にフィールドスコープ用アイピースを接続する必要がある。潟gミーテックが発売しているボーグ天体望遠鏡用パーツに利用できそうな部品がみつかったので、天体望遠鏡販売店に望遠レンズとアイピースを持参、接続が可能でピントが合いケラレも出ないことを店頭で確認してから接続部品を購入した。
 接続に使う部品は、OASIS NK→M57AD (7158) 、OASIS M57→M36.4AD NEW (7364) 、OASIS M36.4→M32AD (7167) の3点。
 普段使っているデジスコシステムからフィールドスコープ本体だけを外し、"アイピース+接続アダプター+コンパクトデジタルカメラ"部分をそのまま一眼レフ用望遠レンズに取り付けただけである。
 ニッコールレンズ後端のバヨネットマウント部に《7158》をはめると57mmメスネジに変換される。《7364》は57mmオスネジを36.4mmメスネジに変換、《7167》は36.4mmオスネジを32mmメスネジに変える。そこでNikonのアイピースWide DSの32mmオスネジが取り付け可能になる。
 一眼レフ用超望遠レンズを使ったコリメート法撮影で得られる画像品質は上記の通りだが、実際に使える場面は限られる。
 地上望遠鏡であるフィールドスコープは正像で見れるようにプリズムで天地を逆転させているが、写真用レンズにはその仕組みが無いのでコリメート法では天地が逆像になってしまう。撮影時にこの逆像を見ながら被写体を捉えるのは頭が混乱する作業だ。
 また、超長焦点システムになるので、ミラーショックの無いコンパクトデジタルカメラを使っても、カメラに対して僅かな風が吹いてもブレ写真になってしまう。無風で明るい天候の時しか使えない。
 そういうわけで、被写体が移動すればとても追いかけられないので、一ヶ所に止まって長時間動かない被写体でなければならない。高い岸壁の上にじっと止まっているハヤブサや山の上の枯れ木に止まっているオオワシなどは最適と思えるが、それ以外に適当な被写体は少ない。コンパクトデジタルカメラを改造して液晶モニターを180度回転させて正像にできれば、ゆっくり動く水鳥なども被写体にできるが、天地逆像のままでは動くものは対象外になる。
 超望遠レンズと一眼レフを持って野鳥撮影に出かけるのなら、追加でコンパクトデジタルカメラとアイピースを持つのはそれほど負荷にはならないので試してみられてはいかがだろう。


超望遠レンズを使った"コリメート法"を現場で実証:2009年06月01日

 「超望遠レンズ+一眼レフ」対「超望遠レンズ+コリメート法」は、被写体が静止している状態なら「コリメート法」の方がすぐれているのは、すでに実験で検証ずみだが、フィールドでふさわしい被写体にはなかなか出会わなかった。先月(5月)25日、ヤマセミが「超望遠レンズ+コリメート法」に向いた被写体だとわかったので、今日(6月1日)「超望遠レンズ+コリメート法」用の道具を準備して出かけた。ヤマセミは同じ場所に止まっているが、今日は快晴の逆光なので別の方角からの撮影になったが、被写体距離はどちらもおよそ100mで変わらない。
 「超望遠レンズ+コリメート法」は、画像が天地逆像なので被写体を導入するのも簡単ではないし、シャッター速度も遅いので被写体が激しく動いたらブレ写真になってしまう。ヤマセミは魚を飲み込むと消化するまで一時間ほど枝や岩に止まってじっとしているのでコリメート法の弱点が撮影上の大きな欠点にならないで利点が目立ったが、他の多くの野鳥には当てはまらない。




ヤマセミ  Nikkor VR500mmF4GレンズにTC-14EUテレコンバーターをつけ、一眼レフD300で撮影。500mm×1.4倍×1.5倍=1050mm相当(35mmフィルムカメラ換算)の撮影。1050mm相当では画面の中で非常に小さく描写されているので大幅にトリミングしている。ここまでトリミングを行うと、画像の鮮明さは失われ、随分と荒れた状態になった。但し1250分の1秒のシャッターが切れているので仮にヤマセミが羽ばたいてもブレは少ないだろう。(5月25日撮影)







ヤマセミ  Nikkor VR500mmF4GレンズにTC-20EUテレコンバーターをつけ、更にNikonのフィールドスコープ用アイピースWIDE DS40X/50Xを接続し、コンパクトデジタルカメラP5000で撮影している。撮影時のP5000の焦点距離は8.5mm(41mm相当)なので、この組み合わせではおよそ3700mm相当(35mmフィルムカメラ換算)となる。こちらも周囲を少しトリミングしているが、まだ400万画素以上の画質を保っている。60分の1秒のシャッター速度なのでヤマセミが羽ばたきをするとブレてしまっただろう。(6月1日撮影)






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超望遠レンズを使った"コリメート法"を現場で実証 第2弾:2009年12月5日

 ヤマセミの次はオオワシである。どちらも被写体距離がすごく遠い。また、餌を捕り食事の後、消化するまで長時間じっと動かない。超望遠レンズ+アイピースを使ったコリメート撮影におあつらえ向きの被写体である。11月下旬、例年通り、オオワシが滋賀県湖北町にやって来た。山の頂上に近い枯死した樹木の横枝に止まっている。巨大なオオワシが豆粒に見えるほど遠い。


 まず、超望遠レンズVR500mmF4G+テレコンバータTC−20EU+一眼レフD300=1500mm相当で撮影した場合である。普通に画像処理した後、コリメート法撮影の画像と同じ構図になるように大幅にトリミングしている。元画像は4288画素×2848画素の1221万画素だったものが、トリミングの結果78万画素に減少してしまった。
オオワシ、一眼レフで撮影、トリミング処理



 1500mm相当では、オオワシが非常に小さく"コワシ"にしか映らないので、一眼レフボディーを外して、代わりに40x/50xアイピースとコンパクトデジタルカメラを取り付ける。
 コンパクトカメラの焦点距離は15.1mm(72.5mm相当)だった。72.5mmの90倍でおよそ6500mm相当(35mmフィルム換算)での撮影である。シャッター速度が1/8秒と遅いので、少しの風でもぶれ写真ばかりである。超望遠コリメート法では風が最大の敵だ。一番ぶれの少ないコマを選んで完全ノートリミングで画像処理しているので、3264画素×2448画素=799万画素のままである。

オオワシ、コリメート法撮影、画像処理



最終的に処理した通常の一眼レフ画像超望遠コリメート法画像、2枚の画像を比べてみよう。
 上が通常の一眼レフ撮影画像、下が超望遠コリメート法撮影画像である。画素数が1対10と大差があるので、画質面でコリメート法の優位性がわかる。もう一つの注目点は、被写界深度の違いである。上の一眼レフ画像は背景がボケているが、下のコリメート法画像は背景の紅葉した木の葉もあまりボケず被写界深度が深いことが分る(下の画像をクリックすると大きな画像が開きます)。  超望遠コリメート法で撮影したオオワシを含む参照ページ
オオワシ、一眼レフ撮影 オオワシ、超望遠コリメート法

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